
国税庁のホームページに
「相続税の申告要否判定コーナー」
が設けられています。
今回は、
この「判定コーナー」を利用して、
申告要否の判定手順を解説します。
※ 以下の記事は、
倍率方式の土地評価について、
情報が不足しています。
また、
結果は確実ではありませんので、
確実な結果をお望みの場合は、
フォームよりご依頼ください。
相続税の申告要否判定コーナー

上記リンクをクリックすると、
別タグで「判定コーナー」が開きます。
※ トップ画面が表示されない場合は、
「戻るボタン」をクリックしてください。
次に、
「スタートボタン」をクリックします。

概要等の確認

推奨環境等のページが開きます。


上から順番に、
- 相続税の概要
- 申告要否判定までの流れ
- 推奨環境
を確認し、
「確認終了(次へ)ボタン」をクリックします。

相続税の基礎控除額の計算

1. 配偶者について

配偶者の有無をクリックします。
2. その他の相続人について

- 子
- 父母・義父母
- 兄弟姉妹
について、それぞれ
- 有無をクリックし、
- 人数を入力します。
なお、
- 相続人の一人が亡くなっている場合
- 養子がいる場合
は、取扱いが異なりますので、
脚注リンク先の内容を確認し、
その指示に従ってください。
※
養子縁組制度と相続税については、
「孫との養子縁組|制度の内容とメリット・デメリット」をご確認ください。
ここで、
〇 子がいる場合は、
「有」をクリックすると、
以降は入力できなくなり、
〇 子がおらず、父母・義父母がご健在の場合は、
「有」をクリックすると、
以降は入力できなくなります。
このことで、
法定相続人の数の間違いを防いでくれています。
3. 遺産に係る基礎控除額


「控除額の計算ボタン」をクリックすると、
遺産に係る基礎控除額が自動計算されます。
この基礎控除額の表示を確認してから、
「入力終了(次へ)ボタン」をクリックします。
判定に必要な価額の入力

相続財産等の入力ページが開きます。
1. 相続財産
(1) 土地等

最初は土地の評価ですが、
現存する土地のすべてについて、
評価方法を解説することができませんので、
今回は、
土地評価の最も基礎となるケースを解説します。
正確な評価額と異なることも考えられますが、
時価など他の価額を入力するよりも、
判定する上での誤差が少ないと思われます。
以上の点をご理解いただける場合のみ、
これ以降の記事を読み進めてください。
※ 土地の正式な評価方法をご理解されている方は、
正式な方法で評価してください。
まず、
土地の路線価を調べます。
上記リンクをクリックし、
路線価情報を入手します。
例えば、
下の画像は、都庁付近の路線価図です。


赤枠の部分が相続した土地だとすると、
接している四方道路上の数字の中で、
一番大きな数字をメモします。
例でいえば「9,270A」です。
ここまで確認できたら、
「判定コーナー」に戻り、
土地等の「入力するボタン」をクリックします。


土地等の入力ページが開きますので、
区分の「路線価ボタン」をクリックします。


路線価方式のページが開きますので、
一番左の「1つの道路に接している土地等ボタン」をクリックします。
の入力」ページ.png)

下のページが開きます。
」ページ.png)

〇 土地が自己使用の場合は、
- 土地等の利用区分:自用地
〇 土地を賃貸している場合は、
- 土地の利用区分:貸宅地
- 借地権割合:メモしたアルファベット
〇 土地上の建物を賃貸している場合は、
- 土地等の利用区分:貸家建付地
- 借地権割合:メモしたアルファベット
を選択します。
なお、
メモしたアルファベットとは、
例「9,270A」のAで「借地権割合A:90%」のことです。
路線価には「9,270」を入力します。

続いて、
土地等の面積を入力します。
土地が共有の場合は、
共有持分の「はい」をクリックし、
持分割合を入力します。
」ページ-最下段.png)

「入力終了(次へ)ボタン」をクリックしたら完了です。
(2) 建物

〇 自宅の場合は、
- 利用区分:自用家屋
- 固定資産税評価額
〇 賃貸している場合は、
- 利用区分:貸家
- 固定資産税評価額
また、
〇 建物が共有の場合は、
- 持分ありに ☑
- 持分割合
を入力します。


「計算ボタン」をクリックすると、
評価額が自動計算されます。
(3) 有価証券

- 単価
- 株数
を入力し、
「計算ボタン」をクリックすると、
評価額が自動計算されます。
(4) 現預金等

- 現金は、手許現金の残高
- 預貯金等は、預金通帳の残高
を入力します。
(5) 生命保険金等・死亡退職金等



- 死亡保険金等
- 死亡退職金等
は、金額を入力し、
「計算ボタン」をクリックすると、
課税対象金額が自動計算されます。
※ 両者には、それぞれに非課税枠が設定されています。
なお、
- 入院保険金
- 損害保険金
など、死亡保険金以外の保険金は、
次の項目の「その他の財産」として入力します。
また、
- 故人が保険料を払ってくれていた
- まだ保険事由が発生していない
保険契約について、
契約者を変更した場合もあると思いますが、
この変更した契約も、
その時点までに形成されている権利を相続したものとされ、
相続税法上のみなし相続財産となります。
そして、
この権利についても、
次の項目の「その他の財産」として入力します。
(6) その他の財産

相続税がかかる財産とは、現金、預貯金、有価証券、宝石、土地、家屋などのほか貸付金、特許権、著作権など金銭に見積もることができる経済的価値のある全てのものをいいます
国税庁 タックスアンサー No.4105 相続税がかかる財産
上記の引用で、今まで見てきた財産以外には、
- 宝石
- 貸付金
- 特許権
- 著作権
が挙げられます。
これに加えて、
- 車両
- 時計
- 貴金属
- 骨董
- 絵画
- 未収金
- 外国に所有している財産
なども該当します。
その他にも、
金銭に見積もることができる財産があれば、
その換金額(経済的価値)を入力します。
(7) 相続時精算課税適用財産

相続時精算課税の適用を受けている場合には、
生前贈与により取得した財産の、
生前贈与時の価額を入力します。
※
相続時精算課税については、
「相続時精算課税制度|メリット・デメリットと選択すべきケース」をご確認ください。
2. 債務及び葬式費用

- 債務
- ご葬儀にかかった費用
は、相続税課税価格から控除することができます。
(1) 債務

- 借入金
- 未払いの公租公課
- 未払いの医療費
- 賃貸物件の敷金
などの債務や未払費用は、
それらの確定額を入力します。
(2) ご葬儀の費用

- ご遺体・遺骨の搬送
- 通夜・告別式
- 火葬・埋葬
- 納骨
- 読経料
- お布施
- 戒名料
のために一般的に必要とされる金額を入力します。
お布施などの寺院費用については、
領収証を発行する慣習があまりなく、
領収証をもらえないことも多いと思います。
この場合は、
- 支払日
- お寺等の名称
- 支払金額
- 支払いの内容
をメモし、保存しておけば良いことになっています。
上記に対して、
- 香典返しの費用
- 位牌・墓石・墓地の購入費用
- 葬儀後の法要費用(初七日や四十九日法要)
は、相続税課税価格から控除できません。
3. 相続開始前3年以内の贈与財産

財産を相続した(または遺贈された)方が、
相続の開始前3年以内に、
故人から生前贈与を受けていた場合は、
- 財産の種類
- 金額
を入力します。
※
遺贈については、
相続開始前3年以内の生前贈与加算については、
「相続開始前3年以内の贈与と相続税」をご確認ください。


ただし、
相続時精算課税の適用を受けている場合は、この加算はありません。


これで相続財産の入力がすべて完了しましたので、
「入力終了(次へ)ボタン」をクリックします。
判定結果

申告要否判定結果が表示されます。


相続税申告が不要になる場合

判定が「申告必要」となった場合でも、
最終的に申告しなくても良くなる場合もあります。
それは、
- 相次相続控除
- 未成年者控除
- 障害者控除
を適用したら、相続税額が0円となる場合です。
なぜなら、
上記の控除は、
適用要件に「申告」が求められていないため、
これらの控除を適用した結果、
相続税額が0円になるのであれば、
申告はしなくて良いからです。
上記の控除を適用可能な方は、
判定が「申告必要」となっても、
最終的に申告しなくても良くなる場合もあることを、
覚えておいてくださればと思います。
※
相次相続控除については、
「再転相続|遺産分割の完了前に相続が続けて起こった場合」にて詳しく解説していますので、
内容をご確認ください。
※
未成年者控除については、
障害者控除については、
「相続税の障害者控除」をご確認ください。
あとがき

判定で「申告必要」となった場合には、
相続開始時から10か月以内に、
相続税の申告と納税を行わなければなりません。
相続税の申告書を作成するためには、必要書類もたくさんあり、
そのすべてを収集するだけでも、それ相当の時間が必要となりますので、
できるだけ早めに、税理士へご相談されることをお勧めいたします。